いつか終わる永遠を愛するということ

アイドルグループが永遠には続かないと気付いたのは、ジャニーズWEST(あえて出会った頃のグループ名で呼ばせてください)に出会って割とすぐだったと思う。
ジャニーズWESTの存在が自分の中で支えになるほど、今までぼんやりと見ていたワイドショーの「脱退」「退所」という文字が急に何よりも恐ろしい言葉に感じられるようになった。
もちろんそれらは必ずしもマイナスなものではなくて、アイドルひとりひとりのキャリアや目標や人生のために起こりうる、自然なイベントだと思う。
でも推し始めて半ば依存気味だった時期の私は、ジャニーズWESTが7人でなくなることが、ジャニーズWESTが無くなることが、怖くてたまらなかった。

終わりに怯えつつも楽しく追いかけるうちに、家で泣きながらライブDVDを見て自分を奮い立たせていた新入社員が中堅を名乗れるくらいの年月が経ち、互いに等しく年齢を重ね、ジャニーズWESTはWEST.になった。
まだまだ若いけれどちゃんと大人で、気力に任せた無理は段々と利かなくなってくる。
ここ5年の間に、ファンに隠し通せない彼らの不調を目の当たりにする場面も何度かあった。
その度にその時出来得る全てを以って助け合いファンの前に立ち続けることが、どれだけ有難く難しいことかエンタメの世界に身を置いていなくても想像に難くない。

デビュー当初「おじいちゃんになっても『オンリーロンリー 』を歌おうな」と言っていた時と同じように、「誰か先に死んじゃっても遺影を持って『しらんけど』歌おう」「おらんけど〜って言うて」と笑ってくれる光景は夢みたいに綺麗だから、いずれはアイドル・WEST.の旅が終わり、彼らの笑顔が見られなくなることを考えると苦しくなってしまう。
そんな生来ネガティブな自分に、終わりに対してひとつの答えをくれたのが、今年に入って聞いた重岡くんのラジオでの言葉だった。

永遠じゃないから、いろんなものが。
ていう意味で言えば、「キミはキミのために生きるんだ」*1って。
幸せになって欲しい。僕らの出すもので、例えばエンタメ、僕たちが届けるもので、幸せになって欲しい。
でも究極は、俺らが、僕らがいなくても、幸せになって欲しいんすよ。うん。そうなのよ。
「僕らがいないとダメなんです」、嬉しい。むっちゃ嬉しい。
泣けるほど嬉しいけど、本当はでも、そうだよね、うん。
(中略)
あそうそう、"今は"こう思ってる、だからね?これが全てじゃない、答えはひとつじゃないから、うん。
でも今は、俺はなんかそんな感じに思ってます。

 ー2024.2.25放送「もぎたて関ジュース」より

勝手な解釈かもしれないけれど、私には彼の言葉が祈りのように感じられた。
WEST.もWEST.が見せてくれるエンタメもいつかは幕を閉じるけれど、WEST.がいなくなった後もWEST.が届けたものがファンの糧になり生活を彩り幸せな人生を送れるように。

WEST.を追いかけてきて、忘れられない景色や瞬間がたくさん出来た。大切な友達や知識や新しい世界とたくさん出会った。
今はやがて過去になっていきWEST.も私も否応なく変わっていくけれど、すべてが遠い未来の私を助けてくれる美しい思い出で、色褪せることはないのだと胸を張って言える。
それならば、WEST.がくれたものは私の中で「永遠」になると捉えてもいいんじゃない?と都合よく考えてみる。
私が私のために生きるために、今のWEST.からもらったものを「永遠」にしながら生きていく。

 

WEST.デビュー10周年本当におめでとうございます。
永遠は望みません。でも、WEST.として私たちの前で元気に心の底から笑っていてくれる日が1日も長く続くよう祈らせてください。
7人の人生に良いことばかりが起こりますように。愛しています。

*1:さくらももこ作詞『ボクら』の歌詞